東京から電車で約2時間。奥多摩は都心から気軽に行けるにもかかわらず、手つかずの自然が色濃く残る貴重な観光地です。登山やキャンプで有名ですが、近年はレンタサイクルを活用して巡るアクティブな楽しみ方が人気を集めています。
今回は奥多摩駅からレンタサイクルを借り、TREKKLINGさんのパンフレット記載のAコース「奥多摩湖コース」とCコースを組み合わせたサイクリングプランを体験しました。湧水「境の清泉」や吊り橋「しだらく橋」、奥多摩湖の美景に触れ、川遊びやご当地グルメ、クラフトビールまで堪能しました。さらに奥多摩ならではのアクティビティや、次回訪れたい紅葉シーズンのコースもご紹介します。
「自然×自転車×グルメ×温泉」が一度に味わえる奥多摩。休日にリフレッシュできる最高の1日をご案内します。
奥多摩駅に到着!(10:00)
新宿から中央線と青梅線を乗り継ぎ、終点の奥多摩駅へ。木造調の駅舎と背後に迫る山々が旅の気分を一気に盛り上げます。駅前には小さな商店が2軒あり、飲み物や軽食が買える「コンビニ的なお店」。サイクリング前の補給や帰りの買い物に便利です。
休日の駅前は、登山客やサイクリング客でにぎわい、リュックを背負った人々の足取りも軽やかです。
そんな光景を眺めながら、私たちも今日一日の冒険に胸を躍らせ、旅のスタートラインに立ちました。
TREKKLINGで電動アシスト自転車をレンタル(10:00〜10:20)
奥多摩駅から徒歩すぐの「TREKKLING」でレンタサイクルをしました。ここでは普通のクロスバイクやマウンテンバイクのほか、電動アシスト付きe-バイクもレンタル可能です。私たちは坂の多い奥多摩を楽しむために、Panasonicの「ハリヤ」を選びました。

お店ではA〜Dまで4種類のサイクリングコースが紹介されたパンフレットをもらえます。距離・難易度・見どころが分かりやすくまとめられていて、初心者から上級者まで自分に合ったルートを選べるのが魅力です。
Aコース|奥多摩むかし道(約9km〜18km)
裏道度:60% 大自然度:90%
推奨車種:e-バイク(ハリヤなど)
江戸時代に交易路として使われていた旧青梅街道を辿るルート。車通りが少なく、静かな里山風景や渓谷沿いの木々を眺めながら走れる、奥多摩初心者に最もおすすめのコースです。
奥多摩駅から湖まで約9km(登り約50分、下りは約35分)。湖畔に着いたら、さらに奥多摩湖の端まで進むこともでき、距離を伸ばせば18km前後になります。途中の見どころは、奥多摩湖名物「麦山の浮き橋(ドラム缶橋)」や、里山風景の残る集落。未舗装の600m区間もあり、ちょっとしたオフロード体験も楽しめます。
👉 ポイント:トンネルが多いのでライト必須。紅葉シーズンは特に絶景で、四季を通じて魅力を味わえるルートです。
Bコース|日原鍾乳洞(約11km)
裏道度:5% 大自然度:90%
推奨車種:e-バイク
関東最大級の鍾乳洞「日原鍾乳洞」を目指すヒルクライムコース。標高差は約300m、距離は11km。平均勾配2.7%の上り坂が続き、体力に自信がない方はe-バイク推奨です。
鍾乳洞内部は年間を通して約11℃と涼しく、夏には外気温とのギャップを体感できる人気スポット。途中には東京都最大級とされる「倉沢のヒノキ」もあり、約25分山道を歩けば巨樹を間近に見ることができます。
👉 ポイント:帰りのダウンヒルは爽快ですが、スピードの出し過ぎに注意!
Cコース|海沢渓谷滝巡り(往復11.4km+徒歩3km)
裏道度:60% 大自然度:95%
推奨車種:e-バイク
「東京の屋久島」とも呼ばれる海沢渓谷。往復11.4kmのサイクリングで標高差は約200m、さらに片道1.5km(往復3km)のトレッキングを組み合わせて楽しむコースです。
見どころは「海沢三滝」と呼ばれる三つ釜の滝、ネジレの滝、大滝。マイナスイオンたっぷりの環境で、夏は特に人気。運が良ければニホンカモシカなどの野生動物に出会えることも。
👉 ポイント:サイクリングとハイキングの両方を満喫できるため、動きやすい服装とスニーカー必須。夏場は水遊びも可能。
Dコース|青梅 癒しの裏道(約23km)
裏道度:50% 大自然度:60%
推奨車種:クロスバイク
奥多摩駅から青梅方面へと下る片道ルート。距離は23kmで、高低差は139mと下り基調。大きな上りは少なく、気軽に楽しめるのが魅力です。
裏道をつなぐルートなので交通量も少なく、車では入れない名所や青梅ならではの景観に出会えます。ゴールは沢井の「小澤酒造」または青梅駅近くの提携店で乗り捨て可能(※河辺の提携店は閉業済み)。返却後は温泉や飲食店で締めくくるのもおすすめ。
👉 ポイント:体力に不安がある人でも走りやすく、爽快なダウンヒルを満喫できます。
独自のまとめ
Aコース → 奥多摩デビューに最適。里山・湖・吊り橋を気軽に楽しめる。
Bコース → 本格ヒルクライム+観光鍾乳洞。e-バイク推奨。
Cコース → サイクリング+滝トレッキング。夏のリフレッシュに最適。
Dコース → 下り基調で楽々。青梅の街と観光を組み合わせたい人におすすめ。
今回はその中から、Aコース「奥多摩むかし道」とCコース「海沢渓谷滝巡り」を組み合わせて走ることにしました。店員さんが「この組み合わせだと奥多摩らしい景色と水辺の涼をどちらも楽しめますよ」とアドバイスをくれたのも決め手。丁寧な説明のおかげで安心して出発できました。
※本記事内で紹介したサイクリングコースの情報は「TREKKLING公式サイト」を参考にしています。
出典:TREKKLING 奥多摩レンタサイクル公式サイト(https://trekkling.jp/)
サイクリング開始!奥多摩湖コースへ(10:20〜12:00)
境の清泉でひと休み
Aコースを出発して、まず立ち寄ったのが「境の清泉」です。ここは日本の名水百選や自然文化百選にも選ばれている湧水スポットで、地元の人々にも長年親しまれています。冷たく澄んだ水は口に含むと柔らかく、サイクリングで乾いた喉に心地よく染み渡ります。
湧き水の流れる音と周囲の緑が織りなす空間はまさに癒しそのもの。観光地の喧騒から離れ、静かに自然を感じられる穴場スポットです。

しだらく橋を渡る
さらに進むと現れるのが「しだらく橋」。木製の吊り橋で、老朽化のため一度に渡れるのは2人までというルールがあります。足元が少し揺れるたびにスリルを感じつつ、視界には多摩川の清流が広がります。川面に光が反射し、山々の緑と調和する景観は息をのむ美しさ。
「一度に二人まで」という制約があるからこそ、渡るときの緊張感と景色の特別感が一層際立ちました。

多摩川湖の絶景
サイクリングのハイライトの一つが多摩川湖(奥多摩湖)。湖面はエメラルドグリーンに輝き、風のない日には周囲の山々が水面に映り込みます。まるで鏡のような景色に、時間を忘れて見入ってしまいました。
湖を背景に走る道は勾配もありますが、電動アシスト付きのハリヤなら難なくクリア。自転車で湖畔を駆け抜ける爽快感は格別でした。

思わぬ遭遇!鹿が山から
途中、山の斜面から鹿が滑り落ちてくるというハプニングも!野生動物の多い奥多摩ならではのシーンに驚きつつ、自然の力強さを実感しました。

昼食「のんきや」でラーメン(12:00〜13:00)
サイクリングでひと汗かいた後は、TREKKLINGの店員さんおすすめのラーメン店 「のんきや」 へ。地元の人に長年愛される、まさに奥多摩ランチの穴場スポットです。
私が注文したのは醤油ラーメンに半ライス。ここで驚いたのは、半ライスを頼むと 小鉢が3品も付いてくる こと。お漬物や副菜が並び、どこか家庭的な温かさを感じます。ラーメンのスープは透明感のある澄んだ醤油味で、運動後の体にじんわりと染み渡り、ほっとする味わいでした。「奥多摩でラーメンを食べたい」という人にはぜひ立ち寄ってほしい一軒です。
ただし、「のんきや」は 駐車場の台数が限られている ため、車で訪れる方は注意が必要。特に週末は満車になりやすいので、ドライブで訪れる場合は、近隣の 小河内ダム休憩所(カタクリの花)駐車場を利用するのがおすすめです。ここからは奥多摩湖を見渡せる絶景スポットが広がり、散策や写真撮影にも最適です。
また、奥多摩観光では飲食店が限られているため、お弁当を持参して奥多摩湖の湖畔でピクニックを楽しむのも良い選択肢。湖畔に腰を下ろし、山々の緑と透き通る湖面を眺めながら食べるおにぎりは格別の味わいです。「奥多摩湖 ピクニック」と検索する人も多い人気の過ごし方で、アウトドア派には特におすすめしたい楽しみ方です。
サイクリングの合間に「奥多摩ラーメン」で温まり、あるいは「奥多摩湖ピクニック」でリフレッシュ。どちらもこの土地ならではの魅力を感じられるランチタイムの過ごし方でした。

Cコース途中で川遊び&ミツ釜ノ滝(13:00〜16:00)
午後はCコースへ行きました。
途中で立ち寄ったのが「ミツ釜ノ滝」。岩肌を伝って三筋に落ちる滝で、水飛沫が涼しさを運んできます。ここではキャニオニングを楽しむ団体ツアーの姿もあり。ロープで滝上を渡っている姿はとても気持ちよさそうでした。
海沢渓谷には「海沢三滝」と呼ばれる3つの滝があり、順番は「ミツ釜ノ滝」(入口付近)→「ネジレの滝」(中間地点)→「大滝」(最奥)です。いずれも清涼感あふれる絶景で、森林浴をしながら滝を巡る人気スポットです。足場がぬかるんで滑りやすく、登山道も想像以上にハードなため、今回は「ミツ釜ノ滝」までで引き返すことにしました。
また、大滝へは迷子になる可能性があるため、初めて訪れる方は進まないよう注意書きもありました。そのため無理せず安全に楽しめる範囲での滝巡りとなりました。
それでも流れが緩やかなところで川遊びを楽しみ、透明度の高い水に足を浸すだけで汗と疲れが一気に吹き飛び、奥多摩の夏らしい贅沢なひとときを満喫できました。



TREKKLING 自転車返却(16:30)
16時半、TREKKLINGに自転車を返却。e-バイクのおかげで坂道も楽々、長距離も安心して走れました。初心者でも十分楽しめる奥多摩サイクリングで、体験価値は大きかったです。
返却時は、料金が前払いのため返却手続きもスムーズでした。また、貴重品を除く荷物を預けていたので、サイクリング中に身軽に動け、返却時には預けていた荷物をすぐに受け取ることができました。こうしたサービスがあることで、安心して1日を満喫できるのもTREKKLINGの魅力です。

青山居麦酒醸造所でクラフトビール(16:45〜17:30)
自転車を返却した後は、奥多摩駅から徒歩圏内にある「青山居麦酒醸造所」へ向かいました。こちらはクラフトビールに特化した醸造所兼タップルームで、地元産の原料を使った個性豊かなビールが楽しめる隠れ家的スポットです。
こぢんまりとした空間ながらも、醸造タンクが店内にあり、作り立ての新鮮なビールをその場で味わえるのが特徴。
運動後に味わう一杯は格別です。ホップの爽やかな香りと麦芽のしっかりとしたコクが口いっぱいに広がり、汗をかいた体に染み渡ります。「生き返る!」と叫びたくなるような爽快感は、奥多摩サイクリングの締めにぴったりです。
フルーティーで香り高い地元産クラフトビールは、自然の中で遊んだ余韻をさらに引き立ててくれます。
電車に揺られて中野駅へ。窓の外には夕焼けに染まる山並みが流れ、自然と「また来たいな」と思わせてくれます。駅近くで再び乾杯し、奥多摩の1日を振り返りました。日帰りとは思えないほど充実した内容に、大満足。


奥多摩の豊富なアクティビティ
今回体験できなかったものも含め、奥多摩には魅力的なアクティビティが豊富に揃っています。自然豊かな環境を活かしたアウトドア体験から、地元グルメや温泉まで、幅広く楽しむことができます。
1. 清流での鮎釣り
奥多摩の清流では、夏になると鮎釣りを楽しむ人々の姿が見られます。特に多摩川やその支流は水質が良く、自然環境が整っているため、釣り初心者でも体験しやすいのが特徴です。釣った鮎は塩焼きにしてその場で味わうこともでき、川遊びと合わせて楽しむと、夏ならではの贅沢なひとときを過ごせます。
2. もえぎの湯での温泉体験
奥多摩駅から少し足を伸ばすと、「もえぎの湯」などの温泉施設もあります。日帰りで利用可能で、サイクリングやハイキングで疲れた体をゆっくりと癒すことができます。露天風呂からは山々の景色や渓流を眺められ、自然と一体になったような開放感を味わえるのが魅力です。
3. キャンプやBBQでアウトドアを満喫
ファミリーや仲間と楽しめるキャンプ場も多く、バーベキューや焚き火を囲んで過ごす時間もおすすめです。奥多摩には川沿いに設置されたキャンプ場や林間キャンプ場があり、自然を感じながらゆったりと過ごすことができます。食材や道具を持ち込むこともできるため、自分たちだけのアウトドアプランを組めるのも魅力です。
4. その他のアクティビティ
さらに、奥多摩では渓谷トレッキングや湖でのカヌー体験、秋には紅葉狩りサイクリングなど、季節に応じてさまざまな楽しみ方があります。山や川に囲まれた地形を活かした体験は、都市部では味わえない自然の迫力と静けさを提供してくれます。
奥多摩は一度訪れただけでは遊び尽くせないほどの魅力にあふれています。次回は今回体験できなかった鮎釣りや温泉、キャンプ、BBQなどのアウトドア体験にも挑戦し、さらに奥多摩の自然とアクティビティを満喫したいと思わせてくれるエリアです。
まとめ|次は紅葉シーズンのB・Dコースへ
奥多摩は、サイクリング初心者から上級者まで楽しめる多彩なルートが揃い、自然体験やグルメも充実した魅力的な観光地です。
今回はAコースとCコースを巡りましたが、次回は秋の紅葉シーズンにBコースやDコースを走りたいと思っています。湖畔の紅葉、渓谷の色づきは、きっと夏とはまた違った格別の景色を見せてくれるでしょう。「都会からすぐ行ける大自然」、奥多摩ならではの魅力を存分に味わえる日帰り旅です。
以上、今回の奥多摩日帰り旅行プランはいかがでしたか。サイクリング、川遊び、グルメ…奥多摩の魅力がぎっしり詰まった、濃度の濃い一日を体験することができました。
同じ東京でも、こんなにも自然豊かな場所があることに驚かされますし、改めて東京の魅力を一つ知れた気がします。皆さんもぜひ、電動アシスト自転車で奥多摩の自然とグルメを満喫する日帰り旅に出かけてみてください。リフレッシュできること間違いなしです。
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